ROUNDTABLE
WHO IS YOUR AUDIENCE?
鑑賞者を想像するとは
21世紀に入ってからの数十年間で、現代アートのインフラは目覚ましく拡大しました。新しい美術館やビエンナーレ形式の展覧会が世界各地の都市で次々と創設され、アーティストやアート関係者は学びや制作、展示、職務、レジデンス参加などを目的に、国境を越えて行き来しています。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックや文化活動に対する公的資金削減、そして孤立主義的な政治運動の再興といった出来事が今、「世界的な対話の場」としての現代アートのイメージに暗い影を落としています。
現代アートが長らく体現してきた進歩的な価値観への反動が進む中、展覧会の企画者やマネージャーは、地域社会のニーズに応えながら、どのように国際的な視野を保ち続けることができるのでしょうか。今年のラウンドテーブルでは、「Who Is Your Audience? 鑑賞者を想像するとは」と題し、3つの段階を踏みながらこの問いについて考えます。
ラウンドテーブルではまず、自分たちの組織に関わる人々──来館者からオンラインで関わる人々、地域コミュニティのメンバーまで──を改めて見つめ直すことを促します。こうした多様なオーディエンスは、どのようにアートプログラムの内容や方向性に影響を与えているのでしょうか。
次に、異なる地域や文化の中で活動してきた経験を振り返ります。様々な観客の期待や反応との出会いは、キュレーターとしての成長にどのように寄与してきたのでしょう?
そして第三に、これまでの経験の枠を超えた未来を見据えます。自分たちの展覧会は誰に語りかけているのでしょう? そして、まだ出会ったことのない新しい観客を、どう受け入れることができるのでしょう?
パネリストは、飯田志保子(国際芸術祭「あいち」組織委員会・学芸統括)、ライアン・イノウエ(第59回カーネギー・インターナショナルのカセ&ジム・パトリノス共同キュレーター)、そしてラシャ・サルティ(第61回ヴェネチアビエンナーレアーティスティックディレクター付アドバイザー)の3人。いずれも国際的な美術機関での豊富な経験を経て、現在も主要な国際展の企画に携わるキュレーターです。
※本ラウンド・テーブルは、アートウィーク東京のエディトリアル・ディレクターであるアンドリュー・マークルと、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]ディレクターの塩見有子が企画し、慶應義塾ミュージアム・コモンズ、慶應義塾大学アート・センターと共同で開催します。
パネリスト
飯田志保子
SHIHOKO IIDA
国際芸術祭「あいち」組織委員会・学芸統括
ライアン・イノウエ
RYAN INOUYE
カーネギー美術館国際美術部門キュレーター
ラシャ・サルティ
RASHA SALTI
美術・映画研究者、ライター、キュレーター、第61回ヴェネチアビエンナーレアーティスティックディレクター付アドバイザー
モデレーター
AWT TALKS ラウンドテーブルは、アートウィーク東京エディトリアルディレクターのアンドリュー・マークルと、横浜美術館国際グループ兼学芸グループグループ長の帆足亜紀が司会を務めます。
参加について
AWT TALKS ラウンドテーブルは、経験豊富なキュレーター向けの非公開・招待制イベントです。キュレーターおよび美術館ディレクターの方で、今後のラウンドテーブルへの参加にご興味をお持ちの方は、件名を「AWT TALKS ラウンドテーブル」とし、ご自身の活動概要を簡潔に添えてinfo@artweektokyo.com までご連絡ください。