ROUNDTABLE
BETWEEN
ARCHIVE
AND
EXHIBITION
アーカイブと展覧会のあいだ
2008年、オクウィ・エンヴェゾーは、「アーカイブ・フィーバー(Archive Fever)」を現代アートを特徴づける主要な潮流の一つとして捉え、その視点をニューヨークの国際写真センターで企画した同名の展覧会を通して提示しました。
それ以来、展覧会を企画する場としてのアーカイブの重要性は、いっそう高まり続けています。その背景には、美術館やビエンナーレの世界的な拡大に加え、誰もがアクセス可能な情報の集積地としてインターネットが発展してきたこと、さらに、美術館などの制度的な文脈において周縁化されてきた人々の声をいかに表象するかをめぐる新たな議論の広がりがあります。
しかし、インターネットをアーカイブそのものと見なすことはできません。また、物理的なアーカイブは厳格に管理された空間であり、ときに排他的な社会構造を支える仕組みの一部ともなっています。さらに今日では、歴史学という営みそのものが、フェイクニュースと情報過多によって駆動されるネットワーク化したメディア環境のスピードに追いつくことに苦慮しています。
こうした社会状況のもとで、私たちはアーカイブと美術館とのあいだに当然のものとして想定されてきた結びつきを、改めて問い直す必要があるのではないでしょうか。アーカイブに収められた資料や作品は、展覧会という場へと移され、展示されることで、どのような変容を遂げるのでしょうか。
本ラウンドテーブルでは、「アーカイブと展覧会のあいだ」をテーマに、個人、国家、そして国境を越えた異なるレベルの歴史に向き合う近年のキュラトリアル・プロジェクトを手がけてきた3名の登壇者を迎えます。
ヴィクトリア・サンは、米国のバークレー美術館・パシフィック・フィルム・アーカイブ(BAMPFA)のシニア・キュレーターとして、2026年初頭、韓国生まれのアメリカ人アーティスト、テレサ・ハッキョン・チャの大規模回顧展を企画しました。BAMPFAは、チャの個人コレクションとアーカイブを所蔵する機関でもあります。
鈴木勝雄は、東京国立近代美術館の研究員とともに、20世紀前半の日本におけるプロパガンダ作品が、美術作品であると同時に歴史資料でもあるという両義的な位置づけについて集中的な調査を行い、その成果を2025年の展覧会「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」として発表しました。
ケイナ・エレイソンは、ブラジルのアマゾニアス・ビエンナーレのリサーチ&コンテンツ・ディレクターであり、第36回サンパウロ・ビエンナーレのコキュレーター・アット・ラージとして活動しています。植民地主義による収奪と歴史の抹消という過去と、アーカイブや美術館が歴史的に深く結びついてきた地域において、「記憶を築くこと」を軸としたキュラトリアル・プラクティスを展開しています。
各登壇者によるプレゼンテーションに続いて、現代のキュレーターが展覧会を企画する際、アーカイブの条件とどのように向き合い、それをいかに展覧会へと展開しているかについて、参加者を交えたディスカッションを行います。また、急速に変化する観客の期待や鑑賞・参加のあり方に応答しながら、アートの実践者がアーカイブを新たな方法で活性化していく可能性についても議論します。
パネリスト
ヴィクトリア・サン
VICTORIA SUNG
バークレー美術館・パシフィック・フィルム・アーカイブ フィリス・C・ワティス・シニア・キュレーター
鈴木勝雄
KATSUO SUZUKI
東京国立近代美術館 企画課長
ケイナ・エレイソン
KEYNA ELEISON
アマゾニアス・ビエンナーレ(ベレン)リサーチ&コンテンツ・ディレクター/第36回サンパウロ・ビエンナーレ コキュレーター・アット・ラージ
Photo by Murillo Tinoco
モデレーター
AWT TALKS ラウンドテーブルの司会は、アートウィーク東京エディトリアルディレクターのアンドリュー・マークルと横浜美術館国際グループ兼学芸グループグループ長の帆足亜紀が務めます。
参加について
AWT TALKS ラウンドテーブルは、経験豊富なキュレーター向けの非公開・招待制イベントです。キュレーターおよび美術館ディレクターの方で、今後のラウンドテーブルへの参加にご興味をお持ちの方は、件名を「AWT TALKS ラウンドテーブル」とし、ご自身の活動概要を簡潔に添えてinfo@artweektokyo.com までご連絡ください。