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WHAT’S GOING ON(愛のゆくえ)──アートはいかにして現実をとらえるか
ナオミ・ベックウィス × アダム・シムジック × 岡村恵子 × アンドリュー・マークル
社会が共通の言葉や価値観を失い、複数の危機や地政学的な対立が重なり合う現在、アートは「いま何が起きているのか」をどのように捉え、私たちに伝えることができるのでしょうか。
2025年のAWT TALKSシンポジウムは、マーヴィン・ゲイが1971年に発表したアルバム『What’s Going On』と、その日本でのタイトル「愛のゆくえ」を出発点に、現実とアートの関係を考えました。
基調講演を務めるのは、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館副館長兼チーフキュレーターで、ドクメンタ16の芸術監督を務めるナオミ・ベックウィス。アダム・シムジック、岡村恵子、モデレーターのアンドリュー・マークルとともに、それぞれのキュラトリアルな実践を通して、アートが現実をどのように理解し、異なる見方を提示しうるのかを議論します。
アダム・シムジックは、美術館の成立と権力や経済の歴史をたどりながら、自身がキュレーションしたAWT FOCUS「What Is Real?」について紹介。岡村恵子は東京都現代美術館や恵比寿映像祭での実践を通じて、パフォーマンス、映像、美術館を公共サービスとして捉える視点について語ります。
ナオミ・ベックウィスは、マーヴィン・ゲイ、アミリ・バラカ、ブラック・アーツ・ムーブメント、バークリー・ヘンドリックス、ラシード・ジョンソンらを通して、政治、コミュニティ、ケア、抵抗、レジリエンスと芸術の関係を考察します。
後半のディスカッションでは、「アートには何ができるのか」「アートは意味を生み出さなければならないのか」「美術館やキュレーターは公共にどのように奉仕するのか」といった問いをめぐり、議論を深めます。
ナオミ・ベックウィス
基調講演者
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館副館長兼チーフキュレーター。美術史家として数多くの展覧会カタログや刊行物に寄稿するほか、アイデンティティやブラックカルチャーがグローバルな現代美術に与える影響をテーマに様々な展覧会や出版物を手掛けてきた。企画した主な展覧会に「Rashid Johnson: A Poem for Deep Thinkers」グッゲンハイム美術館(2025–26年)、「Howardena Pindell: What Remains to Be Seen」シカゴ現代美術館(2018年)、「The Freedom Principle: Experiments in Art and Music, 1965 to Now」シカゴ現代美術館(2015年)、「30 Seconds off an Inch」ハーレム・スタジオ美術館(2009–10年、ニューヨーク)など。2027年の「ドクメンタ16」ではアーティスティックディレクターを務める。
アダム・シムジック
登壇者
チューリッヒ在住キュレーター、作家、編集者。チューリッヒ美術館のDas Büro für geistige Mitarbeitキュレーター。2014年から17年まで「ドクメンタ14」のアーティスティック・ディレクターを、03年から14年までクンストハレ・バーゼルのディレクター兼チーフ・キュレーターを務めた。22年にチューリッヒに現代アートと文化のための非営利団体Verein by Associationを設立。
岡村恵子
登壇者
東京都現代美術館事業企画課企画係⻑。学芸員として東京都現代美術館(1995–2007年/21年–現在)、東京都写真美術館(07–21年)で数々の企画を手掛ける。09年に映像とアートの国際フェスティバル「恵比寿映像祭」の創設を担う。21年開催の第13回まで毎年携わり、映像インスタレーションや映画、パフォーマンス作品を領域横断的に数多く紹介した。
アンドリュー・マークル
モデレーター
東京在住のライター、編集者、翻訳家。アートウィーク東京エディトリアル・ディレクター。2010年から2024年まで、バイリンガルのオンライン出版「ART iT」の副編集長。2006年から2008年までニューヨークのArtAsiaPacificの副編集長を務め、毎年発行されるAlmanacの編集に携わる。『Aperture』、『Art & Australia』、『Artforum』、『frieze』などの国際誌に寄稿。主な出版物に、菅木志雄論集第1巻の英訳版(Skira社、2021年)。2018年から2023年まで東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科で教鞭をとる。