EXHIBI­TIONS

エキシビジョン

谷原菜摘子「ラブ スーサイド」

谷原菜摘子
谷原菜摘子《蝋燭の火を消さなければ》2025年
© Natsuko Tanihara, courtesy MEM.

日本近代絵画史の「くらい絵」の系譜を継ぐ画家、谷原菜摘子の新作個展。彼女の作品では、自身の生い立ちの暗部や、下等生物に逆襲される人間、理不尽な暴力、世界の終末など、様々な幻想譚が微細な筆致で執拗に描き込まれる。これらは自身が見た夢に基づくものも多く、現代の絵巻物として人間の普遍的な業を表すようでもある。彼女の油彩画の支持体となるベルベットの布地は、光を吸い込む漆黒の闇となってその幽玄な世界を支えている。2023年の大原美術館個展では「新竹取物語」として、竹取物語と温羅(古代の鬼神)の伝説を融合させた神話を発表。人形浄瑠璃や江戸糸あやつり人形の舞台美術も手がけるなど、表現の幅を広げている。本展では2024、2025年に美術を担当した舞台『中之島文楽』のプロジェクションマッピングに使用された原画を一挙に展示する。


MEM

  • E-3
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「『もの』と『こと』と『ことば』をめぐって-8つの視点」展示風景 2022年
© MEM

MEM(Multiply Encoded Messages)は、1997年大阪・四天王寺で設立。2010年に恵比寿のナディッフアパートに移転、現在に至る。森村泰昌、石原友明、松井智惠をはじめとする1980年代に台頭した関西の代表的作家の紹介を中心に出発し、同時代の作家と共に彼らの作品が初めて発表される現場を共同でつくり上げ、長期的にアーティストの仕事をサポートしている。戦前・戦後初期に活躍した近代期の作家たちの仕事を調査し、当時の社会との関係の中でどのように作品が生まれ、変化・発展していったか、美術史や写真史の中でどのように位置付けられたかを検証している。これらの調査資料のアーカイブは、ギャラリーのウェブサイトなどで公開している。