美術館・ギャラリー

フイギユア

展覧会

FIG. 9. IMMEDIACY

リサ・ラピンスキー《The Younger Set Wallpaper》2023年
© Lisa Lapinski. Photo courtesy the artist.

リサ・ラピンスキー、丹羽海子、J・パーカー・バレンタイン、岡田理によるグループ展「Immediacy」を開催する。視覚的および認知的、時間的観点を取り囲むように、Immediacy (即時性)の概念は、芸術作品の体験に関する様々な観点を呼び起こす。即時性という用語が、いかなる仲介媒体も取り払られた直接的な経験ということを意味する場合、作品制作と鑑賞が物質世界での遭遇を前提として行われるものである以上、そのような状態に至ることはあり得ないことのように思える。しかし、芸術鑑賞における即時性の状態について考えることは、具体的な鑑賞経験とは何か、という基本的でありかつ複雑な問いを私たちに投げかける。

四人の展示作家は、それぞれ異なる関心をもとに独自のアプローチで活動を展開しているが、物質性やプロセスに対する鋭い感度をもった作品を発表してきた点において共通している。工芸、メディア、記号論の言語を組み込んだ形式的に複雑な立体作品で知られるリサ・ラピンスキーの独特の彫刻言語は、空間の壁一面を覆う壁紙作品と、額装されたスクリーンプリント作品の 二つの作品で構成される展示作品にも表れている。本質的にドローイングに関連した実践に基づいた作品を発表してきたJ. パーカー バレンタインは、特定の素材を用いた長期的に行われる実験的な制作方法という意味で「ドローイング」における行為と実践の側面が顕著に表れた作品を展示。丹羽海子の作品は、様々な実体験、記憶、空想らが複雑に絡み合うことと、多種多様な素材と技法による彫刻作品とのパラレルが、物事の境界を曖昧にし、分類と定量化という支配的な方法論に対するアンチテーゼとして捉えられる。岡田理の作品は、有形無形のナラティブ構造の間を漂い、セラミックという物質的実体を持ちつつも断片的な印象を与える。「展覧会」を、第二のミディウムとして機能させるか、機能させないか、ということについて半ば即時的に制作された展覧会を通じて考える。

会場

フイギユア

  • A5
  • 大塚

豊島区北大塚3-27-6 Tree-ness House 2F

2017年に北大塚にオープンしたアーティストランスペースおよびプロジェクト。国内外の幅広いアーティストの展覧会などを北大塚のスペースで企画開催するほか、アーティストブックなどの製作と出版も行う。これまでの主な展覧会に、デヴィッド・オストロフスキー「空っぽの水(反ドローイング)」(2023)、XYZcollectiveとの共同企画による丹羽海子 「靴の中の暮らし(幻影コオロギ)」(2023)、「Drawing Fever I: Narrative, on-going 」(2022)、岡田理、Galerie Max Mayerとの共同企画によるニコラス・グァニーニ「Interference」(2022、2021)、Fitzpatrick Gallery、The Performance Agencyとの共催によるハナ・ワインバーガー「wedidntwanttoleave.live」(2020)、COBRA「THE MUSEUM」(2019)、岡田理「Slender and Long My Whistle」(2018)など。

岡田理、ニコラス・グァニーニ「温泉大作戦」展示風景 2021年
Courtesy the artists, Galerie Max Mayer, and Fig.