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小田原のどか × 山本浩貴

『この国(近代日本)の芸術——〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』以後:この国の「脱帝国」は、いかにして可能か?

グローバルな脱植民地主義の潮流のなかで、美術史や文化表象をめぐる言説にも、「脱帝国」という視点から近代日本を捉え直そうとする試みが見られます。『この国(近代日本)の芸術——〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』(月曜社、2023年)は、これまでの〈日本美術史〉の語りにおいて支配的であった暗黙の「常識」や「枠組み」そのものを批判的に検討し、それらを「脱帝国」という観点から解体・再構成(あるいは拡張)することを試みた書籍です。
ここでいう「脱帝国」とは、単に帝国主義的支配の否定という政治的立場ではなく、近代以降の日本社会や美術のあり方を支えてきた帝国的な思考の枠組みを解体し、そこから別の語りや関係のあり方を模索する実践を意味します。
本トークでは、編者を務めた小田原のどか(彫刻家・評論家)と山本浩貴(文化研究者)が、刊行後に展開してきたそれぞれの実践を共有し、「近代日本」・「美術」といった文脈を踏まえながら、あらためて「脱帝国は、いかにして可能か」という問いにアプローチします。


小田原のどか

彫刻家、評論家、研究者。筑波大学大学院博士課程修了、芸術学博士。主な展覧会に「近代を彫刻/超克する—津奈木・水俣編」つなぎ美術館(2024年、個展、熊本)、あいちトリエンナーレ2019など。主な単著に『近代を彫刻/超克する』(2021年、講談社)、『モニュメント論:思想的課題としての彫刻』(2023年、青土社)など。


山本浩貴

文化研究者。1986年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教、金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師を経て、2024年より実践女子大学文学部美学美術史学科准教授。単著に『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』(2019年、中央公論新社)、『ポスト人新世の芸術』(2022年、美術出版社)、『12ヶ月でわかる現代アート』(2025年、美術出版社)。

Photo @ Shiho Yoshida