ARTISTS
出展作家
アンドロ・ウェクア
© Andro Wekua, courtesy the artist, Gladstone Gallery, New York, Brussels, and Seoul, and Take Ninagawa, Tokyo
By the Window
Video
8 min., 30 sec.
ダイニングルームを思わせる空間で、足をテーブルに乗せて座る無表情な青年のマネキン。窓を模した枠の中には、断片的な映像が繰り返し映し出される。海から打ち寄せる波、表情の読み取れない人物のポートレート、車窓からの風景——。作家が幼少期を過ごした祖国ジョージアでの記憶を織り交ぜたようなイメージと共に、部屋の照明は次々と色を変える。その背景には、微かな火花や話し声、遠くで鳴るサイレンの音が交互に流れる。音と照明は次第に激しさを増していき、平和な印象を与える子どもの声や、温かみある部屋の印象はかき消されていく。記憶の変化や現実に基づく異世界を示唆する本作は、ウェクアの作品世界を総合的に体現したものと言える。
アンドロ・ウェクア
1977年生まれ、ジョージアのソフミ出身。祖国の民族紛争を逃れてスイスへ移住し、その後はベルリンを拠点に活動する。内戦下で過ごした土地の記憶、人物、動植物を織り交ぜた彼の作品は、個人と、個人を取り巻く国家史や政治状況などのより大きな諸力との交差を表す。近年はサンカントネール博物館(2023年、ブリュッセル)、上海油罐芸術中心(2022年)、クンストハレ・チューリッヒ(2018年)などで個展を開催。また、世界文化の家(2024年、ベルリン)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(2023年、香川)、国立国際美術館(2023年、大阪)、パレ・ド・トーキョー(2014年、パリ)、グッゲンハイム美術館(2010年、ニューヨーク)などでのグループ展や、第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2011年)や第8回光州ビエンナーレ(2010年)など多数の芸術祭にも参加している。