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出展作家

潘逸舟

潘逸舟

© Ishu Han, courtesy Anomaly

波を耕す

2024
Video
13 min., 58 sec.

潘の代表作のひとつである、自身が海に向かって行うパフォーマンスを映した映像作品シリーズの最新作。第11回アジア・パシフィック・トリエンナーレで初めて発表された本作は、オーストラリアでのフィールドワークをもとに、現地で制作された。
大きな波に呑まれぬよう警戒しながら、押し寄せる波を農具を振り下ろし耕している。それは、かつて農業に従事していた祖父の身振りをなぞることでありながら、この場所に生きる自らが耕すべきものは何かという問いかけでもある。土地が回収され畑を失った後もなお、制度の網からこぼれ落ちたわずかな土地に枝豆を植え続け、耕すことをやめなかった彼の姿が、この土地に住み着くための力学をありのままに表し、自らの身振りと重なっていく。

潘逸舟

1987年上海生まれ、東京都在住。社会と個の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、真摯に、時にユーモアを交えて表現する。主な展覧会に、「Thank You Memory −醸造から創造へ−」弘前れんが倉庫美術館(2020年)、「MOTアニュアル2021−海、リビングルーム、頭蓋骨」東京都現代美術館(2021年)、「記憶は地に沁み、風を越え 日本の新進作家 vol.18」東京都写真美術館(2021–22年)、「ぎこちない会話への対応策ー第三波フェミニズの視点で」金沢21世紀美術館(2021–22年)、「ホーム・スイート・ホーム」国立国際美術館(2023年)、「APT 11」QAGOMA(2024–25年、ブリスベン、オーストラリア)、「非常の常」国立国際美術館(2025年)など。