ARTISTS
出展作家
ナヤブ・ノール・イクラム
 
                                        © Nayab Noor Ikram, courtesy Kana Kawanishi Gallery
ザ・ファミリー
16mm film transferred to video
7 min., 25 sec.
オーランド諸島の海岸を舞台に、架空の儀式としての洗髪行為を通じて、ケアの概念を問いかけるフィルム・パフォーマンス*。髪は、古今東西の社会で常に重要な役割を果たしてきた。さまざまな文化において強い象徴性を持つ髪は、所属、地位、感情など多様な状態を表すために用いられる。この作品では、母娘の絆を軸に家族の肖像が描かれる。作家の母親は実際に、娘が7歳になるまでその髪を洗ってきた。親子はこのパフォーマンスで20年以上の時を経て触れあうなか、互いに込み上げるものがあったという。かつて娘が母国語を教わったときのように、1から20までをウルドゥー語で数えあげていく。
*本作は16ミリカラーフィルムを2Kビデオに変換したものです。
ナヤブ・ノール・イクラム
1992年生まれ。フィンランド拠点のビジュアル・アーティスト、写真家。同国の非武装自治区でスウェーデン語圏のオーランド諸島に生まれ、パキスタンのディアスポラにルーツをもつ。 映像、写真、パフォーマンス、インスタレーションを手掛け、儀式や象徴を通して、中間的な感覚(in-betweenship)、文化的アイデンティティ、記憶を扱うコンセプトを探求する。近年は、ボートシルカ・コンストハル(2024年、スウェーデン)、クンストハレ・ヘルシンキ(2023年、フィンランド)、ゲルザルサフン(2022年、アイスランド)などで作品を発表。2019年にフィンランドのスウェーデン文化財団から文化賞を、22年にはオーランド諸島のアンナ=レナ・ドライヤー芸術基金を受賞。25年秋から、フィンランド写真美術館(ヘルシンキ)で新作を展示予定。