AWT

キッズ・ユース向けガイドツアー&ワークショップ
11月8日(土)、9日(日)
10:30–11:30/13:30–14:30/15:30–17:00
AWT FOCUS(大倉集古館)
無料
予約必須(定員あり)
NOVEMBER 5–9, 2025
リアルとは?
監修: アダム・シムジック
美術館での作品鑑賞とギャラリーでの作品購入というふたつの体験を掛け合わせたAWT独自の特別展「AWT FOCUS」。第3回となる2025年は国際芸術祭「ドクメンタ14」 でアーティスティックディレクターを務めたアダム・シムジックが監修を務めます。
今年のプログラムタイトルは「リアルとは?」。ポスト真実(Post-Truth)の幻想が広められ、ソーシャルメディアでは非現実が生成・拡散される現代において、「リアル(現実/写実)」はどういう意味を持つのか? アーティストたちが社会的・政治的課題に応答しながら探求してきた「リアル」の多様な表現を通じて探ります。
「リアルとは?」は、近現代のアートにおける「リアル/現実」の多様な表現を探る展覧会である。
絵画や彫刻、写真、映画などにおけるリアリズムは、社会的・政治的課題を批判的に捉えるための表象として現れた。その表現は社会を前進させようとする進歩的な意図を帯び、オノレ・ドーミエ(1808–1879)やギュスターヴ・クールベ(1819–1877)から、望月桂(1886–1975)、そして赤松俊子(1912–2000/丸木俊としても知られる)に至るまで、アーティストたちは約2世紀にわたって「リアル」を探求しようともがいてきたのだ。
だが同時に、リアリズムはしばしば権力に取り込まれ、歪められ、全体主義によって“教条”へと変質させられてきた。芸術における自由な実験は異端とされ、リアリズムのみが「人民のため・人民による唯一の真の芸術」として正当化されたのだ。こうしてリアリズムは単なる様式へと矮小化され、権力者にとって都合のいい幻想を大衆に見せるための手段としても利用された。
そしてこのデジタルの時代において、そうした幻想は「ポスト真実(Post-Truth)」と呼ばれ、またもや政治的・経済的に利用されている。アリストテレスが『形而上学』に記した「あるをあらずといい、あらざるをあると語るのが偽であり、あるをあるといい、あらざるをあらずと語るのが真である」という真理の定義は、もはや通用しないように思える。
現代の生活を描こうとする試みは、やがて「リアル」そのものへの疑念へと置き換わる。まるで現実が、無数の可能性の雲の中に霧散してしまったかのようであり、実際あらゆる「堅固なもの」が宙に溶けていくのである。あらゆることが非現実的で、手ごたえもなく、その存在を感じられない──その一方で、現実は突然、自然災害や人災といった危機として突然、圧倒的な力を伴って姿を現す。
だからこそ、「リアルとは?」という問いは今日にふさわしい、素朴でありながら深い問いなのだ。現実感や帰属意識の喪失は世界に蔓延する現代病とも言える。そしてそれは、国家同士の軍拡競争、最大利益を追求する企業による資源搾取、自然環境の破壊など、地球規模の危機と並行して進んでいる。
表面的なコミュニケーションを媒介し、国家や企業による支配のツールともなっているソーシャルメディアなどの技術は「非現実」を生みだし、拡散している。そうした非現実は個々人の中に深く内面化され、私たち一人ひとりに変化をもたらす力があるという感覚すらも奪っていくのだ。
「リアルとは?」は、過去から現代までのさまざまな作品を通してリアルの多様なかたちを探る展覧会だ。
それぞれの作品はひとつの行為であり、小さな行動喚起でもある。写実的な作品よりも、抽象的またはコンセプチュアルな作品のなかにこそ「リアル」を深く感じることもしばしばあるだろう。あるいは、非具象的な作品が政治的な意図を帯びていることもある。何気ない現実の記録に見えるものが、詩的なリアリティをにじませることもある。「いつもどおりの物事」を裏返すことが、リアルを露わにすることもあるだろう。
私たちは、「リアル」に対して共通認識をもてるだろうか?この展覧会の意図は、人間の経験──破壊や悲しみ、喪失感、そして癒しや喜び、祝福まで──のすべてに対して、アーティストたちがどのように応えているかを提示することにある。
ADAM SZYMCZYK
監修
出展作家
開催概要
会場:港区⻁ノ⾨2-10-3 ⼤倉集古館 1・2階
AWT BUS:C1、G1、EXP1
会期:11⽉5⽇(水)–9⽇(⽇)
開場時間:10:00–18:00(最終⼊場17:30)
料⾦:⼀般有料、学⽣・⼦ども無料
※ 9⽉頃にオンラインチケットを販売開始予定。
主催:⼀般社団法⼈コンテンポラリーアートプラットフォーム
特別協⼒:公益財団法⼈ ⼤倉⽂化財団 ⼤倉集古館
※ 本展に関しての⼤倉集古館へのお問い合わせはお控えください。